野球の未来を経営で救いたい。文武両道の挫折から生まれた、NPB海外展開への確信

「野球が好きだから続けてほしい」ではなく、「野球を産業として復活させる」——上智大学経済学部に合格した柳田将太くんは、そう宣言します。小学4年から続けてきた野球。その衰退に危機感を抱きながら、事業を営む両親の姿を見ることで、やがて「経営という視点で野球を救う」というテーマに辿り着きました。しかし合格への道のりは、決して順風満帆ではありませんでした。英検準1級に何度も落ち、大怪我で練習に参加できない日々。その中でも「両親との約束」を守り抜き、最後の大会で8年ぶりのベスト8、英検では2402点という高スコアで突破。そして、その過程で彼が本当に学んだのは、単なる「継続する力」ではなく、「リーダーシップの本質」と「経営の真意」だったのです。

(リザプロ課外活動の様子)

両親の事業から学んだ「産業」の視点

柳田将太くんが経営に関心を持ったのは、教室の中ではなく、家の中にありました。

事業を営む両親。その背中を見ながら、彼は一つの違和感を感じていました。小学4年から続けてきた野球という競技。その時間と情熱は変わらないはずなのに、近年、野球離れは加速している。人気は下火になり、市場は縮小している。

「好きなスポーツなのに、なぜ衰退するんだろう」

その問いは、やがて別の問いへと変わっていきます。

「野球という『産業』を、どうやって再構築するか」

それは、決して「野球が好きだから続けてほしい」という感情的な願いではありませんでした。両親が事業を営む中で、「いかに価値を生み出し、いかに市場を広げるか」を考える姿を見ていたからです。

その過程で、彼は一つの仮説を立てます。日本のコンビニや小売業が「品質」と「現地適応力」で海外展開に成功したように、野球産業も同じアプローチで再生可能ではないか。つまり、「NPBのアジア海外展開」というビジネスモデルの可能性に気づいたのです。

「継続する力」は、別の場所で鍛えられた

高校入学当初、柳田くんは迷わずに「両立」を宣言しました。野球と勉強を同時に成し遂げる。それは、単なる「頑張ります」ではなく、両親との約束でした。

英検2級は余裕を持って突破しました。野球部でも、先輩やコーチとの関係を築き、チームに適応していきました。順調に見えました。

しかし、高校2年生になると、現実は変わります。

英検準1級に何度も挑戦しても、合格ラインに届かない。そして同時期に、部活で大怪我をしてしまいました。練習に参加できない日々。痛みと焦燥感の中で、彼の心に何度も浮かんだのは「両立を諦める」という言葉でした。

「このままでいいんじゃないか。怪我してるし、英検だって難しいし」

そんな誘惑に何度も襲われました。しかし、その度に彼は思い出しました。入学時に両親と交わした約束。「絶対に文武両道を成し遂げる」という言葉。

「親に約束したことを守れない人間が、NPBを海外展開させる経営者になれるはずがない」

その想いが、彼を支えました。

引退後、再び英検準1級に挑戦した時、彼が得たスコアは2402点。高いスコアです。しかし、それ以上に大切な収穫は、別の場所にありました。

「努力を怠らずに継続する力」——それは、試験勉強だけでは決して身につかないものでした。それは、怪我の中で野球部の後輩たちに寄り添い、チームのリーダーとして機能し続けたあの日々の中で、初めて本当の意味で鍛えられたのです。

リーダーシップの「失敗」が、経営の本質を教えた

課外活動で、柳田くんはリーダーシップの本当の意味を学びます。それは、予想外の形でした。

NGO団体主催のマラウイコーヒー豆販売プロジェクト。彼は販売活動チームのリーダーに選ばれました。最初、彼は部活のリーダー像をそのまま持ち込もうとしました。

「仲間を鼓舞して、引っ張るリーダー」

その姿勢で望みましたが、結果は冴えませんでした。メンバー同士が協力し合う雰囲気を作ることができず、売り上げは伸びない。初めての挫折でした。

「俺のリーダーシップが間違っていたのか」

その気づきの中で、彼は方向転換します。

「メンバー1人ひとりの不安に耳を傾け、寄り添うスタイル」

徐々にメンバー間のコミュニケーションが活発になり、チームは一体感を持つようになりました。そして、売り上げは大きく伸びました。

この経験から、柳田くんは気づきました。経営とは、「一方向的な価値提供」ではなく、「チーム全体が相互に価値を創出すること」なのだと。

その確信は、その後のサッカークラブ運営会社へのスポンサー戦略提案でさらに深まります。議論が白熱し、収拾がつかなくなる場面。そこで柳田くんが取った行動は、「俺が決める」ではなく、「スポンサーの利益を最大化するには何か」という視点で、全員の意見を整理し、合意形成を進めることでした。

その結果、プロジェクトは円滑に進み、一つの提案にまとまりました。

NPBの海外展開を構想する経営者へ

大事なのは、完璧なリーダーになることではなく、「常に相手の立場に立つ」ということ。完璧な成績を取ることではなく、「約束を守り抜く」ということ。華やかな成功ではなく、「地道な関係構築」を重ねることなのです。

これらすべてが、柳田将太くんが上智大学経済学部で学ぶべき「NPBの海外展開戦略」に、直結しています。

なぜなら、国の異なる市場に野球を展開すること。それは、テクニカルな経営戦略ではなく、「相手の文化や価値観を理解し、相互の価値を生み出す営み」だからです。

野球という自分の好きなもので、経営を学ぶ。怪我をしながらでも、両立を諦めない精神力を磨く。失敗したリーダーシップを修正し、本当の意味での経営を理解する。

すべての経験が、一つの目標に繋がっています。

上智大学での4年間が、柳田将太くんを「グローバルに力を発揮できる経営者」へと成長させるのは、彼がすでにその準備を完了しているからなのです。