バレーボールから始まった、「伝える力」への目覚め。異文化理解を武器に、教育格差に立ち向かう


「相手を理解しようとする姿勢がなければ、何も伝わらない」——昭和女子大学、文教大学、獨協大学の3大学に合格した田中美羽さんが、高校3年間の活動を通じて得た確信です。バレーボール部での6年間、考古学の課外活動、アフリカでのマーケティング体験、そしてオーストラリア留学。一見すると異なるこれらの活動が、やがて一つの志「英語教育による都市部と地方の格差是正」へと収束していきました。複数大学の同時合格を実現した彼女の軌跡は、「一つの活動を極める」のではなく、「複数の経験を繋げ、学びを統合する力」にあったのです。

「ただ伝えること」ではなく、「理解しようとする姿勢」

田中さんがバレーボール部に参加したのは、友達の勧めがきっかけでした。6年間の活動の中で、彼女が学んだのはスポーツの技術ではなく、「人とのコミュニケーションの本質」でした。

「人とのコミュニケーションって、『ただ伝えること』ではなく、『相手の立場や背景を理解しようとする姿勢』から始まるんだ」

バレーボールはチームスポーツです。ポジションが異なり、役割が異なり、考え方も異なる仲間たちと、一つのボールを追う過程の中で、相手を理解する努力なくしてチームは機能しないことに気づきました。

「人間関係における困難を乗り越えるには、粘り強く向き合い続けることが何よりも大切だ」

その経験は、やがて他の活動へと繋がっていきます。

インプットとアウトプットの流れ

リザプロ主催の考古学の課外活動では、スマホで展示物をスキャンし、それを博物館に展示する作業に携わりました。その中で彼女は気づきました。知識を身につけることも大切だけど、本当に大切なのは「その知識を他者へ伝えるために、どう工夫するか」ということなのだと。

インプットとアウトプット。その流れの中にこそ、教育の本質がある。この気づきは、やがて「英語教育への志」へと結びつくことになります。

「伝えられない悔しさ」との出会い

リザプロ主催のアフリカ産コーヒー豆販売のマーケティング体験。国際問題への興味から参加した活動でしたが、そこで田中さんは初めて「自分の限界」に直面しました。

外国人と話す機会があったのに、自分の言いたいことを英語にすることができない。伝えたいことが伝わらない。見ず知らずの人に商品を勧める「勧誘」の難しさも体験しました。

その問いが、彼女をオーストラリア留学へ向かわせました。

オーストラリア留学:「違いを受け入れる姿勢」

ホームステイを通じて、日本との文化の違いを肌で感じました。食べ物の違い、時間感覚の違い、人間関係の構築の違い。その「違い」一つひとつに直面する中で、彼女の内面は大きく変わりました。

「異なる文化や価値観を受け入れる。そして、その中で自分の考えを相手に伝える。その両立の難しさと大切さを実感した」

この経験が、彼女の最終的な志へと繋がるのです。

複数の経験の統合——一つの志へ

バレーボール部で「相手を理解する姿勢」を学び、考古学の課外活動で「伝えるプロセス」を理解し、マラウイでの活動で「伝えられない悔しさ」を経験し、オーストラリア留学で「異文化理解の重要性」を確信する。

一つひとつの活動は独立しているように見えます。しかし、田中さんがこれらの経験を「統合」した時、一つの明確な志が生まれました。

「都市部と地方の英語教育格差を、コミュニカティブ・アプローチ(CLT)の導入で是正し、英語教師として貢献したい」

CLTは、ロールプレイや討論を通じて「実際に使える英語力」を育てる教授法です。バレーボール部で学んだ「相手を理解する姿勢」。考古学で学んだ「伝えるプロセス」。マラウイでの「コミュニケーション力の大切さ」。オーストラリア留学で確信した「異文化理解の重要性」。

すべてが、この一つの志へと収束していたのです。

複数大学同時合格の秘訣

昭和女子大学、文教大学、獨協大学の3大学に合格した田中さん。その背景にあるのは、決して「完璧な成績」ではありませんでした。評定平均は1年次3.9、2年次4.5。英検も準1級取得の途中です。

彼女が持っていたのは、「複数の経験を繋げ、学びを統合する力」でした。

志望理由書では、単に「英語教育に興味があります」ではなく、「なぜそう考えるようになったのか」の軌跡を、バレーボール部から始まるストーリーとして描きました。それぞれの大学でどの教授の下でどう学びたいのかも、明確に記述しました。

「複数の経験の一つひとつは小さいかもしれない。でも、それらを繋げた時、初めて『自分にしかない物語』が生まれるんだ」

その確信が、複数大学の合格に繋がったのです。