「小4の多摩川研究が、十日町市の人口データ分析につながった」観光ビューローと芸術祭から見えた、関係人口を移住につなげる道。京都産業大学合格
京都産業大学文化学部国際文化学科に総合型選抜で合格した、田村隆成くん

地方の衰退という課題に、観光とアートで挑む
現在日本は、都市部への人口集中と地方の人口減少が進み、地方の文化や産業が著しく衰退しています。田村くんは将来この問題を解決するために、地域固有の文化や自然資源を持続可能な形で活用し、人と経済の流れを取り戻す地域創生に取り組みたいと考えています。そのために必要な地方自治体や地域団体との連携、地域に根ざした文化資源を活かした政策のための意見提出、人々の心を動かす効果的な情報発信を学ぶため、京都産業大学への入学を決意しました。
会津若松での学びが、観光の本質を教えてくれた
田村くんが地域創生に関心を持ったきっかけは、福島県会津若松市の会津若松観光ビューローをリザプロのプログラムにて訪れ、観光の現状と課題について学んだ経験です。観光は地域経済を支える重要な産業であり、来訪者数の多さよりも「観光消費額や単価の向上」や「リピーター獲得」が重視されていることを知りました。
また、会津若松観光ビューローはインバウンド需要を見据え、海外の旅行会社や行政と協力して様々な施策を行っています。特に印象的だったのは、旅行会社やメディア関係者を招き、地域を深く体験してもらう「FAM観光」という取り組みです。これは海外からの観光客数の大きな上昇につながる非常に効果的な手法であり、観光振興に欠かせないと田村くんは感じました。
British Hillsで学んだ、効果的な情報発信の難しさ
さらに、リザプロのプログラムにて田村くんはBritish Hillsにも訪問し、英語を用いた広告戦略を学びました。効果的な情報発信には「場所」「ターゲット」「媒体」の適切な選択に加え、人々の「心・論理・信頼」に働きかける必要があることを理解しました。
実践練習として会津若松市を題材とした広告映像制作にも挑戦しましたが、魅力を的確に伝えることの難しさを痛感したといいます。この経験から、映像は感情に訴え、記憶に残る手段である一方、対象への深い理解と、発信の方法を綿密に設計する能力が必要であると考えました。
地元・十日町市の「大地の芸術祭」から見えた可能性
こうした関心から、田村くんは地元の新潟県十日町市で行われている地域活性化政策にも注目するようになりました。特に「大地の芸術祭」は、越後妻有の里山文化を舞台にアートを通して地域の暮らしや文化を国内外に発信し、都市と地方をつなぐ事業です。来場者は年間50万人を超え、高い満足度を得ています。
ツアーに参加した際、東京在住のガイドの方から「移住は難しくても、芸術祭を支援することで地域に継続的に関わる人を増やせる」という話を伺いました。田村くんはこの言葉から、観光を入口に関係人口を増やし、そこから移住につなげる流れの重要性を実感しました。十日町市には遠方からでも地域に貢献しやすくなる取り組みが数多くあり、関係人口を育てる土壌は整いつつあります。
データから見えた課題と、必要な力
しかし、令和4〜5年の人口推移を見ると、転入者746人に対し転出者1,119人と大幅な転出超過が続いています。観光から関係人口、そして移住へとつなげる施策をさらに強化しなければ、人口増加には結びつきにくい現状があります。
この課題を解決するために、田村くんは三つの力が必要だと考えました。第一に地域課題を正確に分析する力、第二に多様な文化圏の人々にも響く情報発信力、第三に地域資源を活かした持続可能なプロジェクトを構築する実践力です。これらの能力を身につけるため、京都産業大学への入学を希望したのです。
京都産業大学で学びたい理由
京都産業大学には、「文化」と「観光」を融合させた学際的なカリキュラムが整備されており、観光を経済活動としてだけでなく、地域文化の継承や国際交流の視点から学べる点に田村くんは強く魅力を感じました。
特に、寺岡伸悟教授の「観光文化まちづくり論」では、地域の歴史や文化資源を基盤にした観光戦略の立案方法を学び、十日町市のように人口減少に直面する地方都市の活性化に応用できると考えました。さらに「観光と地域社会」「サステナブルツーリズム論」では、観光が地域社会や経済に与える影響を体系的に理解し、持続可能な観光の在り方を探究したいと述べています。
また、京都という歴史的・文化的資源が豊富な立地で実施されるフィールドワークは、観光地の魅力と課題を実地で学ぶ絶好の機会です。地域に即した調査力や課題解決力を養う場となり、身につけた能力を活かして地域の人々と協力し、新たな魅力を発見し、地域活性の要因にしたいと考えています。
加えて、他学部の「里山生態学」を学ぶことで、自然環境と観光の共生を探り、文化・環境・経済を総合的に統合したまちづくりの構想力を高めたいという明確なビジョンも持っています。
合格の鍵となったポイント
田村くんの合格には、いくつかの重要な要素がありました。
第一に、複数の現場訪問を通じて、観光と地域創生について深く学んだ点です。会津若松観光ビューローでの学び、British Hillsでの広告戦略の実践、地元十日町市の「大地の芸術祭」への参加など、多様な経験を積み重ねました。特に、実際に広告映像制作に挑戦し、その難しさを実感した経験は、課題発見能力の高さを示しています。
第二に、地元の人口データを詳細に分析し、課題を明確化した点です。転入者746人に対し転出者1,119人という具体的な数値を示し、「観光から関係人口、そして移住へ」という段階的なアプローチの必要性を論理的に説明できました。
第三に、京都産業大学での学びと自分の目標を明確に結びつけた点です。特定の教授の講義内容まで調べ、それが地元十日町市の課題解決にどう役立つかを具体的に説明しました。さらに、他学部の「里山生態学」まで視野に入れ、文化・環境・経済を総合的に学ぶ姿勢を示したことが、大学への本気度を伝えることにつながりました。
第四に、「FAM観光」や「関係人口」といった専門用語を適切に使用し、観光分野への深い理解を示した点です。表面的な知識ではなく、現場で学んだ実践的な知見を志望理由書に反映できました。
田村くんが目指す将来像
田村くんの将来像は明確です。観光や地域文化を軸とした地域づくりの実践者として、十日町市を始めとした地域社会の課題解決と持続的発展に貢献することを目指しています。
こうした学びを得ることで、地域固有の文化や自然資源を持続可能な形で活用し、人と経済の流れを取り戻す地域創生のプロフェッショナルになりたいと考えています。地方自治体や地域団体との連携、地域に根ざした文化資源を活かした政策のための意見提出、人々の心を動かす効果的な情報発信を実現できる人材を目指しています。
総合型選抜で大切なこと
田村くんの合格事例から学べることは多くあります。彼は地域の現場に足を運び、観光ビューローの職員やガイドの方々から直接話を聞き、実際に広告映像制作にも挑戦しました。この「行動力」が、志望理由書に説得力を持たせる重要な要素となりました。
また、地元のデータを詳細に分析し、課題を明確化する「分析力」も評価されたポイントでしょう。単に「地方が衰退している」という抽象的な表現ではなく、具体的な数値を示して課題を説明できたことが、論理的思考力の高さを証明しました。
そして、京都産業大学の具体的な講義内容まで調べ、自分の目標とどう結びつくかを明確に説明できた「リサーチ力」と「伝える力」も重要でした。
総合型選抜では、「あなたの想い」と「行動」、そして「伝える力」が評価されます。田村くんの事例は、地域の現場で学び、データで分析し、大学での学びと将来のビジョンを明確に結びつけた好例と言えるでしょう。自分が何を実現したいのか、なぜその大学・学部でなければならないのかを明確にすることが、合格への第一歩となります!
